1997年6月19日 中国データベース協議会資料
今日、インターネットは、地方と中央、日本と世界を結ぶ新しい情報の道路として受け入れられ、大きな期待を集めている。従来、情報通信と放送といった規制の垣根で分離されていた2つの世界が否応無しに統合されつつあり、またそこには、われわれ一般の市民が主役になれるかもしれないという、期待感があふれているように見える。
インターネットを新しい情報インフラと見ると、現段階では一応、郵便・電信・電話・FAX・新聞そしてラジオ放送程度の情報伝達レベルであり、テレビ放送の域にまでは達していない。しかし、現段階でも、従来の情報伝達方法と比べて際立った特徴を持っている。それは、マルチメディア対応性と双方向性である。これらの特徴に着目して、学術研究・教育・産業などの多くの分野での積極的利用が展開されている。この世紀末のともすれば暗くなりがちの世相においても、インターネットは夢を与え、社会を元気づける仕掛けとなっている。日本は米国のインターネット普及に比して5年遅れていると言われるが、それでも、商用ネットワークの急速な普及によって、96年末の利用者数は572万人と推計されている。
ここまで順調に発展してきたインターネットであるが、問題はないのかといえば、実は、問題は山積みである。本稿では、今一度インターネット10年の歩みについて振り返り、その利用方法と新しい応用、克服されるべき技術的問題点、そして次の10年間のインターネットの姿について考える。
(1)インターネットこの10年
分散コンピュータ・ネットワークのために開発された通信手順(TCP/IP、1969年)とオープンなOSであるUNIX(1969年開発)が結びついてまず米国で発展した(4.2BSD、1983年)。我国のIPネットワークは東大・東工大・慶応を64kbpsで接続したWIDEプロジェクトに始まる(1988年、10年前)。元来UNIX上で開発されたソフトがWindows環境が整ってきたパソコンに移植され一般に普及してきた。
(2)インターネットとは
インターネットは多数のネットワークの集まりであって、ユーザから見れば電話と同じである。すなわち、データがどのような経路を流れるかについてはユーザの立場からは知る必要がない。インターネットはオープンコミュニケーションネットワークであり、TCP/IPは既にデ・ファクト・スタンダード(事実上の標準)であり、イントラネットを始め、あらゆるネットワークの標準である。インターネットは全世界170以上の国・地域の1,000万台以上のコンピュータが接続された世界規模の分散データベースであり、世界に分散する情報資源を共有可能である。通常の通信インフラの利用方法は固定的であるのに対し、インターネットの利用方法はユーザ自身が決める。
(3)インターネット、最近の話題
NTTのプロバイダ事業への参入(OCN)、イントラネットの推進、日本のインターネットユーザ600万人、ブラウザ戦争(Netscape/Internet
Explorer)、情報のマルチメディア化(RealAudio,StreamWorks,CU-SeeMe,
MBONE,など)、Javaの普及、電子商取引(EC)とJPCERT、回線・モデムの高速化(28.8kbpsから33.6/56kbpsへ)、インターネット上の違法・有害情報への法的判断、次世代インターネットプロトコル(IPv6)
(4)電子ニュース INN (5)会話システム talkなど (6)情報サービス Archie
(7)WWW(情報探索) Netscape, Internet Explorer
IPアドレス枯渇問題(2005〜2011年))→ IPv6へ
ルーティング・テーブル爆発問題→CIDR集成化
テーブル書換え過多によるルータダウン問題
(3)ネットワーク運用技術者の決定的不足
6.インターネット、次の10年
CATVと電話会社のISP事業参入、放送のディジタル化、次世代衛星通信(2002年)、
NII(米国で2015年、日本で2010年?)とFTTH。
インターネットは、そのまま、情報化、国際化、個の尊重といった今日的課題に対応しており、その発展過程を見れば、20世紀民主主義の大きな結実であることがわかる。
(前CSI運営委員長、Email: hiromitu@shudo-u.ac.jp)