中西は、2009年度は以下の学会に出張する予定です。
8/26(水)〜8/28(金) 日本心理学会第73回大会 立命館大学衣笠キャンパス
10/10(土)〜10/12(月) 日本社会心理学会第50回大会 (日本グループ・ダイナ
ミック学会との合同大会) 大阪大学吹田キャンパス
教員 1名
4年生 10名
3年生 10名
2003年度卒業生 6名 (転ゼミで入った者6名)
2004年度卒業生 15名 (転ゼミで4年から他ゼミに移った者1名。卒延1名)
2005年度卒業生 14名 (転ゼミで入った者2名。卒延1名)
2006年度卒業生 11名 (転ゼミで4年から他ゼミに移った者2名)
2007年度卒業生 9名 (卒延1名)
2008年度卒業生 (予定) 14名 (昨年度卒延だった学生を含む)
4号館の社会心理学実験室
主にPCを用いた実験に利用。PC5台を設置。
4号館の社会心理学演習室
実験データの分析、実験準備、演習等に利用。PC7台、ネットワークプリンタ、台所、演習用テーブル等を設置。
社会心理学ゼミへの配属を希望する学生は、中西担当の社会心理学を受講することをお勧めします。単位が取れている必要はありませんが、社会心理学の講義を受講していること、市販されている社会心理学の教科書を数冊読んでおくことを強く推奨します。ゼミ (応用実習・演習・卒論・卒研指導) では、社会心理学の基礎的な知識が身に付いていることを前提とした指導を行います。また、ゼミ配属は心理学基礎演習の成績順に希望を叶えるシステムとなっているので、希望人数・成績によっては希望したゼミに配属されない可能性があります (下にある「社会心理学ゼミ配属について」を参考にしてください。社会心理学ゼミは毎年競争率が高くなっています)。
社会心理学ゼミでこれまで実際にどのような卒業論文が執筆されているのか、下に一覧を載せてあります。ゼミ選択の際の参考にしてください。基本的に学生の希望を尊重しますが、トピックによっては扱いが難しいものもありますので、テーマ決定については担当者と相談の上決めましょう (当然、担当者自身が得意な領域、不得意な領域というのはあります)。
社会心理学ゼミでは実験を重視します。そのため、実験参加者の確保が最も重要となります。実験によっては100名単位の実験参加者を必要とするものもあります。数名で班を組み、実験参加者を共有することも可能ですが、卒論データの収集などでは実験参加者確保にたいへんな思いをするかもしれません。「アンケートを配ってデータを集めるだけでよい」と考えている方はご注意ください。ただ、実験参加者確保や実験の実施については、講義時間にかかわらずできる限りのバックアップをします (講義での実験参加呼びかけなど)。
担当者は本学の大学院担当となっておりませんので、社会心理学の分野で大学院への進学を希望する学生には、今のところ別大学を受験してもらっています。進学希望の学生には、進学先の決定や卒論テーマの決定などに特別な指導をするので、早めに希望を担当者に伝えてください。
社会心理学は、人間の社会的行動の法則を明らかにすることを目指しています。他者が介在している行動であれば、何でも社会的行動となりうるわけですから、社会心理学の守備範囲は広大です。
社会学、人類学、経済学などの隣接諸科学も人間の社会的行動を扱っています。その境界は時として非常に曖昧ですが、他の学問分野との違いとして、社会心理学では統制された環境における実験を非常に重視している点が挙げられます (もちろん、質問紙を用いた調査や面接、観察、フィールドワークなども社会心理学を研究する上で欠かすことのできない手法です)。近年では、コンピュータ・シミュレーションを用いた研究も盛んに行われています。いずれにしても、社会心理学はデータを重視する実証科学であると言うことができると思います。
さて、社会心理学とは、実証データを重視して、社会的行動の法則を明らかにする学問である、と言われたところで具体的なイメージは湧いてこないでしょう。それでは、こんな経験はありませんか?
これらの例は、いずれも日常的で、みなさん一つは経験したことがあると思います。社会心理学とは、実はこういった非常に日常的な疑問に科学的にアプローチする学問なのです。例えば、1の車の話は、「ローボールテクニック (Low Ball Technique)」として知られていて、セールスマンの常套手段の一つです。最初に魅力的な条件 (ローボール=この場合、「50万円で下取りする」という条件) を提示し、承諾を得た後にその魅力的な条件を取り除く技法です。一度決めたことを覆すのは勇気の要ることです。これはその心理傾向を巧みに使った技法です。 2は「集団極化 (Group Polarization)」という現象です。一人で決める時よりも、数人で決めたときの方が極端な決定をしがちであることが知られています。どうしてでしょうか。これまでの研究では、(1) 話し合い場面では多数派の意見が訊かれることが多いから当初の立場を補強しあうことになる (2) 他のメンバーに好ましい自己像 (「私はケチじゃない!」) を提示したい (3) 話し合いによってグループへの自己同一視が起こり、そこでの代表的意見に同調する、などという理由が考えられてきました。
3は社会的促進・社会的手抜きと言われている現象、4は囚人のジレンマなどを用いた協力行動の分野で研究が進められているトピックです (これらについては紙数の関係から詳しく述べることはできませんが、関心のある人には文献を紹介します)。
さて、このように社会心理学は、一見科学的な研究として成立し得ないように見える日常的な疑問を扱っています。こういったトピックはどのように研究したらよいのでしょうか。社会心理学では、実験や質問紙調査、コンピュータ・シミュレーションなど様々な研究方法を用いています。担当者はこれまで主に、グループ実験やコンピュータ・シミュレーションを用いて研究をしてきました。特に、コンピュータによるシミュレーションは、近年、社会心理学の分野でその有効性が認められつつある比較的新しい研究手法です。コンピュータ上に仮想社会を作り、そこに複数のエージェント (ある行動ルールを持つ個体=人) を配置して、その挙動を見ます。プログラミングなんてしたことがない、という人でも、数ヶ月で基本的なシミュレーションを書けるようになります。興味のある人はぜひ一緒にやりましょう。
もちろん、研究対象によって適した研究方法は違ってきますし、人によって研究方法の好き嫌いもあるでしょうから、研究テーマと研究方法については担当者と相談した上で決めたらよいと思います。いずれにしても、社会心理学で卒論を書こうと思っている人は、人々の相互作用に興味を持っている必要があります。一人の人間ではなく、社会から影響を受け、社会を作り、社会に影響を与える存在 (循環的ですね) としての人間を研究することに興味を持っている人は、ぜひ社会心理学のゼミに参加してください。
最後に、担当者の関心領域について説明しておきたいと思います。担当者は、主に適応論や進化心理学と言われている考え方に共感して研究をすすめています。適応論とは、人間行動を、環境への適応という観点から統合的に理解しようとする考え方です。例えば、人間には、多数派の意見に従う傾向 (多数派同調傾向) があります。こうした傾向は、これまで、規範的影響と情報的影響という2つの動機から研究されてきました。規範的影響とは、集団に受け入れられたいという動機から、情報的影響とは他人の行動を情報源として利用したいという動機から同調の生起を説明します。もちろん、現実社会で起こる同調は、いずれの過程も働いていると考えられますが、担当者は適応論の観点から、情報的影響がなぜ成立するのかを研究しています。すなわち、他者の行動が情報源として意味を持たなければ、情報的影響を受けるのは非適応的です。私たちが情報的影響を受けるということは、多くの場合、多数派の意見が正しいという生態学的な環境があるからではないでしょうか。しかし、もし、誰も正しい情報を獲得しようとせず、他者の情報を利用しようとしたら (同調しようとしたら)、このことは成立しなくなってしまいます。カンニングの例を考えてみてください。カンニングが成り立つのはちゃんと勉強をしてきた学生がいるからです。みんながカンニングを目論んでいる状況では、カンニングは意味を持ちません。担当者は、このような観点から、情報的影響としての多数派同調傾向がいつ、いかなる状況下で有効に働くのか、研究をしてきました。関心のある人は一緒に研究しましょう。
2008年度 卒業論文・卒業研究
2007年度 卒業研究
2006年度 卒業論文・卒業研究
2005年度 卒業論文・卒業研究
2004年度 卒業論文
2003年度 卒業論文