日本語学T 教材No.2(1)


日本語のアクセント(基本)

  日本語の単語には一定のアクセントの型がある。
 目標 「アクセントの規則と型を理解する」
        「実際にアクセントを聞き取れるようになる。」

1.アクセント
 ☆個々の語について社会的習慣として恣意的に決まっている
  相対的な高低の配置。

【練習1】アクセントの聞き取り(高低アクセントに慣れる)
  (1)やま  ○○
 (2)かわ ○○
 (3)さかば ○○○
  (4)なかま○○○
 (5)かたかな ○○○○
  (6)さかさま○○○○
 (7)にわかあめ○○○○○

 ☆日本語の拍(モーラ)は、高もしくは低のアクセントを担っている。
  その組み合わせにより、語の意味が区別されることがある。
 (8) a 「はし(橋)」 ○●
    b 「はし(箸)」 ●○
 (9) a 「はしが、ながい」○●●、○●○
    b 「はしが、ながい」●○○、○●○

【例題1】日本語では、意味をどうやって区別しているか、
考えなさい。

 (10)あし
   a 葦 「○○」
    b 足 「○○」
  (11)「にわにわにわとりがいる」
   a 庭にはニワトリがいる。「 ○○ ○○ ○○○○○○ ○○。」 
   b 庭には二羽トリがいる。「 ○○ ○○ ○○ ○○○ ○○。」

【例題2】「●高」「○低」として、次の単語のアクセントを
 記述しなさい。

    (例)「まくら(●○○)」「はしら(○●●)」
  (1)「やま(○○)」        (2)「かわ(○○)」
  (3)「さかば(○○○)」     (4)「なかま(○○○)」 
  (5)「かたかな(○○○○)」  (6)「さかさま(○○○○)」
  (7)「にわかあめ(○○○○○)」

【例題3】夫と妻と娘が、デパートに買い物に出かけた。妻と娘はセーター売場へ、
  夫はゴルフコーナーへに行った。娘がセーターを試着しているところに、
  夫がゴルフのドライバーを持ってやって来た。
  それぞれの発話のアクセントを書き分けなさい。
   娘「あったかい(○○○○○)」
   夫「あったかい(○○○○○)」
   妻「あったかい(○○○○○)」 (多胡輝『頭の体操』より)

2.アクセントの型
☆日本語のアクセントは、高低アクセントで、高と低に分かれている。アクセントが
 どの拍で下がるかにより、アクセントは5つの型に分かれる(アクセントの体系)。

 起伏式
   a頭高型 ←アクセント核(下がり目)が1拍目
      ふじさん ●○○○
   b中高型 ←アクセント核が2〜n-1拍目
      いろがみ ○●○○
      すずしい。 ○●●○
    c尾高型 ←アクセント核がn拍目
      いもうと(が) ○●●●(○)  cf.(助詞)
 平板式 ←アクセント核がn+1拍目
    しんぶん(が) ○●●●(●)

【例題4】次の単語のアクセントは、どの型に属するか?
  (12)あたま [        ]
  (13)こころ [        ]
  (14)さくら [        ]
  (15)つばき(椿)[        ]
 (16)おもい(思い)[      ]
  (17)かぶと [        ]
  (18)はな(花)  [      ]
  (19)はな(鼻)[        ]

【補足】「起伏式」と「平板式」の区別
  (←(18)(19)を間違えた場合)

  単語+助詞
   助詞のアクセントが低となるもの「    」式
   助詞のアクセントが高となるもの「    」式
  (20)a 「うま」 ○●
     b 「うし」 ○●
  (21)a 「うまが、います」○●○、○●○
     b 「うしが、います」○●●、○●○
  (22)a 「うままで、います」○●○○、○●○
     b 「うしまで、います」○●●○、○●○

【例題2】次のペアでアクセントはどこが異なるか、
 説明せよ。

   (23)うま(馬)。うし(牛)  
   (24)はな(鼻)。はな(花) 
   (25)ひ(日)。ひ(火)
   (26)うさぎ。おとこ
   (27)おもい。かぶと。

【発展1】語形が変化するとアクセントの位置も変化する場合がある。
 形容詞の連体形と連用形について、アクセントの型の変化を規則化しなさい。
  (28)連体形  あかい、しろい。   はやい、おそい。
            おもい、かるい。 あつい、すずしい。
  (29)連用形  あかく、しろく。   はやく、おそく。
            おもく、かるく。 あつく、すずしく
 (→形容詞の連体形は、「   」式と「   」型がある。
    連体形の中高型は、連用形になると「   」型となる。)

【発展2】動詞「行く」「来る」「歌う」「働く」のアクセント型は何か。
また、それぞれの過去形はどうか?

3.アクセントの規則
 基本の規則
  規則@   1拍目と2拍目は、必ず高さが違う。
    第1拍目が○なら、2拍目は必ず●。
       (例) あき(秋)、 さとう(佐藤)
    第1拍目が●なら、2拍目は必ず○。
       (例) あき(飽き)、あき(空き)、さとう(砂糖)
  規則A  高いところは1カ所しかない(下がり目(アクセント核)は一カ所)
         (一度下がったら、もう上がれない)

 規則@と規則Aを踏まえると、日本語には次の型しか存在しない。
  起伏式
    a頭高型{ ひ(火)、ねこ、まくら、みどり、しんせつ、しんじつ、}
    b中高型{おかし、こころ、しおかぜ、たくあん、かたかな、・・}
    c尾高型{やま、おとこ、さかな、はんつき、いもうと、・・・・}
  平板式
     {ひ(日)、はし(端)、さき、さくら、すなはま、ふでばこ・・・}

【課題】聞き取りテープの中から、理論上では日本語にありえないアクセント
(だから、外国人っぽく聞こえる)を指摘し、その理由を説明せよ。
  (1)やま      (2)かわ     (3)さかば    (4)なかま
  (5)かたかな   (6)さかさま   (7)にわかあめ 

4.アクセントの乱れ(平板化)
 (30)起伏式→平板式  (若者言葉)
   ドーナツ→ドーナツ  スカート→スカート  カレシ→カレシ
   スクーター モデル ドラマ スタジオ ショップ ダンサー チーム
    ボード ピアノ マージャン  かなり まえ きのう まじ

 【課題】アクセントの乱れと感じる言葉を探し、
  どういうときアクセントが乱れるのか考えなさい。

   (例)カレシ(「   」型→平板型) 

  ☆専門家アクセント
   (音楽)オンガク ドラム ビデオ ギター (パソコン)ファイル 
   (バレー)アタック レシーブ トス スパイク ブロック セッター
   (バイク)バイク マフラー ホイール (医者)モウチョウエン
   (学校)イインカイ キョウジュカイ シンギカイ

 (31)外来語の平板化(アクセント辞典)
    メリヤス カッパ タバコ ブリキ バケツ
 (32)漢語の平板化(アクセント辞典)
   電車 電話 紅茶 所持金 料理人 白紙 部長 腹這い