「尊敬」「信頼」「貢献」「共感」 広島修道大学 人文学部 人間関係学科 心理学専攻    志和資朗


 

 

「ダメ。ゼッタイ。」薬物乱用防止

Yes To Life, No To Drugs.

  •  毎日のように大学生の薬物(大麻)使用問題が話題になっています。薬物乱用そして薬物依存は、自身の破滅のみならず、それに起因するさまざまな犯罪を引き起こします。私が少年鑑別所に勤務していた頃(1980年代)も、中高校生や大学生の薬物(覚せい剤やシンナーなどの有機溶剤)の乱用者はいましたが、それらはある種特殊な環境での特異的な非行だったように思います。あの当時、その多くが暴力団や暴走族など反社会集団への資金源になっていました。しかし、最近の動向を見ていると、あまりにも自然にそして安直に薬物に染まっているように感じます。

     大学生の薬物使用についての報道は、遠い関東や関西の大学での話のように思えますが、広島も例外ではありません。2008年11月14日の中国新聞社説でも「大麻汚染 若者へ拡大どう歯止め」で取り上げられ、そして11月15日の新聞では、「広島県内の大麻押収が昨年比30倍」という報道がなされています。「ネットで急速に拡大」「高い初犯率」「安易さが目立つ」。

     大麻の問題をややこしくしているのは、第1に大麻が合法的に許されている国があること。今回検挙された大学生も、「大学でオランダに関する講義を受けて興味を持った」と話しているといいます。第2に大麻がたばこやアルコールより害が少ないという情報がまことしやかに流れていること。第3に「大麻取締法」が大麻の栽培や輸出入、大麻「葉」の所持や売買を禁じているが、「種」については野放し状態であることにあると考えています。

     こうした抜け道を使って安直に「種」で儲けようとする輩もいます。安直に「種」が入手できるものだから、観葉植物並みに育てようとしてしまう。そこには、「麻薬」を扱っているという重大な認識はないように思います。私たちのまわりに「薬物依存の種」がまかれているようで危機感をおぼえます。

     大麻は薬物乱用、薬物依存のgateway drugと呼ばれています。大麻という入口を入ってしまうと、出口が見えなくなります。「興味半分」「誘われたから」「断れなかったから」「1回くらいなら」「自分は大丈夫」・・どんなに理由付けしようとも、始めると止められなくなります。大麻で満足できなくなるとさらなる刺激を求めて次の薬物に進んでいくこともあります。たいていの場合、次の薬物はより依存性の強い薬物です。薬物依存になると自らの力では抜け出すことができなくなります。もし誘われても「ダメ。ゼッタイ。」を合い言葉に、入口で断る勇気を持って欲しい 。

     ※「ダメ。ゼッタイ。」,Yes To Life, No To Drugs.は財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターによる薬物乱用防止 運動の標語です。

    ( 2008/11/16 )


 

 

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                  最終更新日 : 2012/07/04