講義内容

【環境と政治・行政】Politics and Administration for Environment

 大気汚染、水質汚濁、騒音・振動、自然保護、地球環境問題等、人間活動に起因する環境劣化は広範囲にわたり、これに対処すべく多くの国家で環境行政が積極的に施行されている。日本においても各政党による政治改革、省庁再編による環境「省」誕生、東日本大震災・放射能被害を契機とするエネルギー政策の見直し等にともない、環境をとりまく政治体制や行政システムは大きく変わりつつある。

 本講義では、政治の環境問題解決への役割、環境行政の成立史、従来行政との相違・相克等を概説する他、近年の環境行政や施策を理解するための社会経済的背景及び基本的考え方について平易に解説する。そして、典型7公害、ゴミ問題、貴重生物の減少、自然生態系の破壊、住民移転等の地域コミュニティーへの影響、地球温暖化等、多様な環境問題を認識し対策を実施するための国レベルや地方自治体の政治体制、環境行政システム、各種政策、保全計画等の過去の実績及び今後の方向性について理解を深める。

 具体的なイメージがつかめるよう、ビデオ・DVDやOHCを使用する。

【環境アセスメント】Environmental Impact Assessment

 持続可能な発展は世界の環境政策のキーワードであり、環境アセスメントはそのための一つの基幹システム・基本的手段である。

 アセスの本質を計画、事業等の人間行為の意思決定における透明な形での環境配慮ととらえ、環境アセスメントの意義、調査・予測・評価の方法論、実施手続き等の基礎的枠組みを講義する。これらの基礎知識を踏まえ、国内の代表的事例を紹介するとともに海外(国際機関、米国、途上国等)での先進的・後進的事例との比較を行いアセスメント制度の長短所を浮き彫りにする。また、公共事業の総合評価手法として、環境経済評価や戦略的環境アセスメントについても概説する。

 具体的なイメージがつかめるよう、ビデオ・DVDやOHCを使用する。

【環境の経済評価】Economic Evaluation of Environment

 現在、持続可能な発展や経済的効率性の観点から、ダム建設、道路整備等の開発・インフラ事業における環境配慮や客観的な事業評価が強く求められている。

 開発事業を対象とする評価システムでのより定量的な環境価値の内部化の必要性を踏まえ、本授業では従来の環境影響評価(環境アセスメント、EIA)と経済評価を統合し、経済性と環境配慮の両面を等しく勘案する「環境経済評価」の概念、評価手順、評価諸手法、内外の適用事例、課題等を講義する。また、いくつかの環境項目について経済的評価を演習する。

 受講生が理解しやすく具体的なイメージをつかめるよう、パワーポイント、ビデオ・DVD、OHCを活用する。

大学院経済科学研究科【環境経済評価(特殊)研究】
Case Studies on Revealed & Stated Preference Methods

 持続可能な発展や経済的効率性の観点から、開発・インフラ事業における定量的な環境価値の内部化、そして環境配慮や客観的な事業評価が強く求められている。本授業では、従来の環境影響評価(環境アセスメント、EIA)と経済評価を統合し、経済性と環境配慮の両面を等しく勘案する「環境経済評価」の基本的概念を踏まえ、評価手順、評価諸手法、内外の適用事例、課題等を網羅的に講義する。

 具体的には、代表的な環境経済評価手法を顕示選好法及び表明選好法に大きく分類し、それぞれの方法論的特性を整理するとともに、評価のための情報処理技術や適用事例を紹介する。

 授業ではいくつかの環境項目やプロジェクト案件を対象とする環境経済評価研究事例について、分析レポート・演習・発表を課す。さらに受講者はこれらの知見を踏まえ、関心ある評価手法の理論あるいは実用面についての研究を進める。

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