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- 生命の起源あれこれ
生命はどのようにこの地球に出現したかについて,NHKの番組が放送されます.1月に粘土触媒によってどのようにRNAが生成したかを解説しました.恩師であるフェリス先生が出演するということです.
コズミックフロント
「私たちは火星人!? 最新探査で迫る生命の起源」
BSプレミアム(59分間)
4月5日(木)午後10時00分~
再放送 4月9日(月)午後11時45分~
4月10日(火)午前8時00分~
番組案内
第37回生命の起源および進化学会学術講演会(大阪薬科大学)に参加しました
2012年3月7〜9日にかけて大阪薬科大学で浦田秀仁先生のもとで開催されたSSOELの学会に参加しました.参加者も多く,シンポジウムや特別講演も興味深い内容で,討論・議論にもおおいに熱が入りました.特別講演とシンポジウム講演が合計10件で,一般講演が32件でした.私は様々な分野の学会に参加しますが,この学会の講演や討論は他の学会と比べてもハイレベルですし,サイエンスの原点にしっかりと足場をおいた討論がされています.今回は,2014年に国際生命の起源学会とアストロバイオロジーの合同会議が奈良で開催されますが,その会場視察にきたDeamer先生ら4人からも講演を聞くことがでました.
パリ6大学のMarie-Christine Maurel教授研究室にInvited Professorとして招聘されました
パリ6大学のMaurel先生は,RNAワールド研究の研究で世界的に活躍されてます.最近では初めてウイロイドを植物以外の生物内で増幅し得ることを発見しました.2008年の国際生命の起源学会(ISSOL)において私が講演したことに対して私たちの研究に関心をよせていただきました.2010年1月〜6月にはMaurel研究室のNizar El-Murrさんが前任校(大阪府立大学)に留学し,理学研究科の加藤幹男先生と私のところで,リボザイムの性質を調べる研究を行いました.また,2011年1月〜2月にはMaurel先生にJSPSの招へい研究者として来日していただき,関西を中心として各地でご講演など研究活動を行っていただきました.今回は,2012年2月から3月にかけて私がパリ6大学で,ストラスブルグ大学などのRNA研究が盛んなところを訪問し,講演などをしました.
2009年度から2011年度にかけて科学研究費・新学術領域研究課題提案型に採択されRNAを原始的な環境下で進化させる研究をおこなっています
RNAが触媒能を持つことでRNAワールド仮説が提案されました.RNAは情報を保持できるので複製もできるだろうという,漠然な思いがRNAワールド仮説を考えている研究者にはあるようです.しかし,原始的な環境でRNAが複製するということはまだ確かめられていません.この大事な点が確かめられなければRNAワールドは砂上の楼閣のようなものです.我々は,ぜひ,原始的な素材だけで複製するRNAシステムを構築したいと思います.複製できれば増幅ができます.増幅過程で変異をいれて,セレクションをかければ,それは本当の意味でのRNA進化モデルになります.
2009年度から2011年度にかけてマツダ財団助成金で行った研究が終了しました
われわれは熱水フローリアクターを開発しつつ,熱水中での生体分子の安定性や生成挙動を調べてきました.しかし,実際の熱水環境は,鉱物と熱水とがダイナミックに相互作用する環境です.これまでこのようなリアルな環境を再現する実験手法はありませんでした.そこで,鉱物のすきまを熱水が通り抜けてその中で反応が起こる過程をしらべられる,新しい熱水フローリアクターを開発しました.マツダ財団の助成研究では,この方法論を確立しペプチドを完全グルーん合成する方法の開発を試みました.その結果,オリゴペプチド炭酸カルシウム鉱物(カルサイト)を使って30%程度の効率でより鎖長のおおきなペプチドにすることに成功しました.これは,縮合剤を使わない反応としては画期的な効率です.この研究成果は生命起源と宇宙生命の国際誌・Astrobiology, 2011に掲載されました.